スウェーデンのテレワークが教えてくれること

スウェーデンにおけるテレワーク(在宅/ハイブリッド勤務)の実態を、コロナ禍後の「ホーム=オフィス」化の視点から、16名への質的インタビューを通じて分析した記事を読みました。簡単にまとめると以下の通りです。

スウェーデンで行われた調査研究は、パンデミック中とその後における従業員のテレワーク体験を、5つのテーマから詳しく紹介しています。この研究が特に興味深いのは、スウェーデンが厳しいロックダウンをせず、個人の判断を尊重する自由なアプローチをとった点です。だからこそ、ここから得られる知見は、強制ではない、私たち自身の選択に基づいたこれからの働き方を考える上で、大切なヒントを与えてくれるように思います。

1. 仕事がはかどる喜びと、ふとした瞬間の寂しさと

調査に参加した多くの人が、テレワークによってオフィスでの雑談や割り込みが減り、集中力が高まることで「仕事の効率が上がった」と話しています。特に、報告書づくりなど、一人で集中したい作業にはぴったりだと感じていたようです。でもその一方で、同僚との何気ないおしゃべりがなくなり、孤独感や社会から切り離されたような寂しさを感じるという、マイナスな面も明らかになりました。効率を求めるあまり、新しいアイデアやチームの一体感を育む「雑談」の機会が失われてしまうのは、大きな課題と言えるでしょう。

2. 「柔軟さ」がもたらす、嬉しい時間と悩ましい時間

テレワークがもたらす一番の贈り物は、やはり「柔軟性」です。通勤時間がなくなった分、家族と過ごしたり、趣味や勉強にあてたりと、ワーク・ライフ・バランス(WLB)が良くなったと感じる人が多くいました。しかし、この柔軟性は「いつでもどこでも働けてしまう」状況も生み出し、結果として働く時間が長くなったり、仕事とプライベートの境界線が曖昧になったりする問題も生まれています。この課題に対して、従業員は意識的に仕事用のパソコンを分けたり、一日の始まりと終わりに服を着替えるといった自分なりのルールを作ったりして、境界線を管理する工夫をしていたそうです。

3. 「信頼」でつながる新しいリーダーシップへ

パンデミックが落ち着いた後、一部の管理職がオフィスへの出社を求めたところ、従業員からは「管理や監視の時代に逆戻りするのか」と強い反発があったそうです。テレワークでもきちんと成果を出してきたという自信がある従業員は、自分の裁量を尊重してくれる「信頼に基づいたリーダーシップ」を求めています。このすれ違いは、従来の「時間と場所で管理する」やり方が、もはや通用しなくなりつつあることを示しているのかもしれません。また、優秀な人に来てもらうためには、テレワークという選択肢を用意することが、お給料と同じくらい大切なことだと、管理職自身も気づき始めているのです。

4. それぞれの環境と、見えない「無理」

テレワークが快適で、仕事がはかどるかどうかは、その人の住環境に大きく左右されます。体に合った椅子や広い机を置ける人と、そうでない人との間には「環境の格差」があります。また、少しぐらい体調が悪くても「家にいるから」と無理して働いてしまう「プレゼンティーイズム」が増えていることも、心配な問題として指摘されています。これは、短期的には仕事が進むかもしれませんが、長い目で見ると、心や体の健康を損なうリスクも潜んでいます。

スウェーデンの経験は、テレワークがもたらす明るい可能性と、向き合うべき課題の両方を、冷静に示してくれているようです。日本の現状はどうでしょうか。日本的なテレワークというものを真剣に考えてみることが必要だと感じています。自国の文化や社会と真摯に向き合い、私たちならではの答えを見つけ出していく必要があるのではないでしょうか。

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